猫でも分かる日本薬局方試験

日本薬局方の試験方法について分かりやすく解説します。

1.化学的試験法 (1)アルコール数測定法 ②ガスクロマトグラフィー

前回は蒸留法を説明したが、次はもう一つの方法、ガスクロマトグラフィーについて説明するよ。

まずは前回の復習だけど、アルコール数測定法とは、

15℃における試料10 mL当たりのエタノール層の量(mL)

今回はエタノールの量をガスクロマトグラフィーで測定するよ。

ガスクロマトグラフィーが分からない人へ…

簡単に言うと、試料を気化して成分と量を調べる機械だ。量を測定する方法は、量が分かっているエタノールを100として、比較して計算する。これ以上はすべてを語りつくすには時間が足りないので省略します(日本薬局方に詳しい説明があります)。

 

2. 第2法 ガスクロマトグラフィー(ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー)
15℃で試料を量り,次のガスクロマトグラフィーにより操作し,エタノール(C2H5OH)の含量(vol%)を測定し,この値からアルコール数を求める方法である.
※ヘッドスペース・ガスクロマトグラフに注入する試料がガスのおかげでカラム汚染による誤差がない。
 液体試料は通常のガスクロを使う。
2.1. 試薬
(ⅰ) アルコール数測定用エタノール

エタノール(C2H5OH)の含量を測定したエタノール(99.5vol%)を使うこいつを100として、試料内のエタノールと比較するわけだ.ただし,エタノールの比重d (15、15)とエタノール(C2H5OH)含量との関係は,0.797:99.46vol%,0.796:99.66 vol%,0.795:99.86 vol%である.
2.2. 試料溶液及び標準溶液の調製
(ⅰ) 試料溶液:

エタノール(C2H5OH)約5 mLに対応する量の試料を15±2℃で正確に量り,水を加えて正確に50 mLとする.この液25 mLを正確に量り,これに内標準溶液10 mLを正確に加え,更に水を加えて100 mLとする.(液が濁っても測定には問題なし。エタノール含量は2.5vol%。検量線は1.5~5%において回帰線Y=0.346X+0.0019、相関係数γ=0.9998が得られる:多少誤差有)

※内標準溶液 アセトニトリル溶液(3→50)
(ⅱ) 標準溶液(このエタノール量が100となる):

試料と同じ温度のアルコール数測定用エタノール5 mLを正確に量り,水を加えて正確に50 mLとする.この液25 mLを正確に量り,これに内標準溶液10 mLを正確に加え,更に水を加えて100 mLとする.
2.3. 操作法
試料溶液及び標準溶液25 mLずつを量り,それぞれ100 mLのゴム栓付き細口円筒形のガラス瓶(液量は15~60mL)に入れ,ゴム栓をアルミキャップで巻き締めて密栓し,これをあらかじめ温度変化の少ない室内で1時間以上放置した水中に首まで入れ,液が栓に付着しないように穏やかに振り混ぜた後,30分間放置(室温に近い恒温水槽の方が良い。標準と試料の温度を同じにするため)する.それぞれの容器内の気体1 mLにつき,次の条件でガスクロマトグラフィーにより試験を行い,内標準物質のピーク高さに対するエタノールのピーク高さの比QT及びQSを求める.(ガスタイトシリンジは2.5mL、針の内径約0.4mmを用いる。)

アルコール数=QT/QS×5 (mL)/試料の量(mL)×アルコール数測定用エタノール中のエタノール(C2H5OH)の含量(vol%)/9.406

 

操作条件
検出器:水素炎イオン化検出器
カラム:内径約3 mm,長さ約1.5 mのガラス管に150 ~
180 μmのガスクロマトグラフィー用多孔性エチルビニルベンゼン-ジビニルベンゼン共重合体(平均孔径0.0075 μm,500 ~ 600 m2/g)を充塡する.
カラム温度:105 ~ 115℃の一定温度(気体にするからね
キャリヤーガス:窒素(他の物質と反応しにくいから
流量:エタノールの保持時間が5 ~ 10分になるように調整する.
カラムの選定:標準溶液から得た容器内の気体1 mLにつき,上記の条件で操作するとき,エタノール,内標準物質の順に流出し,その分離度が2.0以上のものを用いる(これが基本、教科書的にも。これより小さいとほんとに別のものなのか?ピークが合わさって正しい数値かどうかが分からなくなる).(1.7以上:保持時間の比であれば定量可能)